ノッチとの出会い

ノッチの反論

焼きそば事件

トランクス事件

鍵ない事件

カラオケ事件

北海道旅行編
 @おしっこ事件
 Aトランプ事件
 Bタバコ事件
 C教官事件
 Dロケット花火事件
 E青春18切符帰宅編

体がだるい事件

ボーリング靴事件

ロケット花火事件2

ポケコン事件

八方尾根スキー旅行事件

スズ○のおやど事件

のっち宅訪問事件

強運のっち事件

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ノッチとの出会い

 大学の学食前にて拾う。
 何故彼に声をかけたかはわからないが、その時点で、
 とんでもない人材を発掘していたことを知る由もなかった。

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ノッチの反論

 ノッチはある日、突然言い出した。 “あ〜、お金無いっちゃ。”
 俺は言った。“親に金借りたら?”
 ノッチは返してきた。 “いや、親は絶対貸してくれないっちゃ。”
 俺はアドバイスした。“バイトしたらいいじゃん。”
 すると、 “いや、親がバイトはするなって言いよるけん。”
 “じゃ、どうしようもないじゃん。”
 “いや、・・・・・”
 このとき、俺ははじめて彼の性格の一面を知った。
 ノッチは、人の言うことは、絶対に肯定しないということを。
 それからも、彼の口癖“いや”は、まわりの友達達を不愉快にさせ続けた。
 補足だが、ノッチは次の年くらいからだったと思うが、
 休みになると実家に帰って、親の紹介してくれたバイトをやっている。

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焼きそば事件

 それは、ノッチが俺の家に遊びに来てるときに起こった。
 カップ焼きそばにお湯を入れ、3分後に湯切りする時のことだ。
 流しまでカップを持ちながら歩き出したノッチは叫んだ。
 “あちっ、あちっ!!”
 しかしノッチには、我慢なんてできない。
 その瞬間、カップは宙に投げ出された。
 “あ〜〜〜・・・・”
 できない子のノッチは、ただおどおどしてるだけ。
 結局その後片付けしたのは俺だった・・・

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トランクス事件

 ある日の体育の授業。着替えの最中だった。
 “あっ、しまった・・・・”
 突然ぼそりとノッチはつぶやいた。
 “どうした〜?”
 “いや・・・”というと、ちょっと恥ずかしそうに微笑んだ。
 “今日パンツが・・・”
 ズボンを脱いだ彼がはいていたのは、なんとセーラームーンのプリントパンツ。
 “いや、これねーちゃんが買ってくれたっちゃ。”
 ノッチは、下着も自分で買えない子だったのだ。
 それにしても、ねーちゃんもねーちゃんだ。
 何もセーラームーン弟に履かせなくても・・・
 その後ノッチが松井ゴジラ、チョコボールキョロちゃんのパンツを
 履いていたのを見たが、そのときほどの驚きはなかった。

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鍵ない事件

 場所は、大学体育館前。体育の授業後のことだった。
 “あれ???”ノッチが叫んだ。
 みんなは、“ノッチどうした?”
 “自転車の鍵落としたっちゃ。”
 “よく探してみろよ、ポケット全部探した?”
 “もう探したっちゃ。”
 “ロッカーとか探してみるか・・・”と、みんなで大捜査に乗り出した。
 結局、30分近く探しても、出てくる気配もない。
 もう、あきらめかけて、俺は言った。
 “ノッチ、一応もう一回ポケットとか調べてみな。”
 “いや、でももう・・・・・あっ、・・・・・ごめん・・”
 そう、やはりノッチはポケットに入れていた。
 普通の人でもよくやりがちなこの事件、普通じゃないノッチは、
 この後も何度も同じことを繰り返している。
 ちなみに、彼は家のかぎを無くしていまだに見つからない。
 普段は家の鍵を開けたまま外出しているそうだ。
 さらに、実家へ帰省するときなど長期の場合、玄関を閉めて、
 窓から出て行っている。

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カラオケ事件

 ノッチの歌声は、すんばらしい。
 特に彼の声域の広さには目を見張る。どのくらいかというと、女性の歌を元キーで歌い上げるほどだ。
 しかしながら、決して聞き惚れるものではない。むしろ聴き難い。
 なぜなら、その声量が半端無いからだ。
 ノッチはよく人の歌も一緒に歌うが、マイクを持ってる人が思わず音程を狂わすほどすさまじい音量だ。
 ある友達が難聴気味になったのも、それが原因なのではといううわさも流れたほどだ。
 さらに彼のビブラートのかかった歌が、頭の奥まで響くほどよく届く。
 人が歌っているときも、音程がかなりずれているからたちが悪い。
 回数が増すにつれ、次第に彼と行きたがる友達はいなくなっていったが、
 こっそりノッチの番のときに音量を低くするなどの対策で、何とか我慢してきた。
 そんな頃、みんなで採点するのが流行った。
 これが意外と難しい。歌がうまい人でも、9割代を出すことはけっこうまれである。
 ところがどうしたんだろう。ノッチは、次々に高得点を連発した。
 次第にみんなは、採点の機械にはコツがあることに気付いた。
 ゆっくりな歌を歌ったり、大きな声ではっきりと歌うと、結構音程を外しても高得点がでることを。
 そう、ノッチが音程を外しているにも関わらずいい点を出すのは、あの大声量のおかげだった。
 しかしノッチは全く気付いてないようだった。それどころかだんだんと顔が勝ち誇っていった。
 “なんか俺が歌うといつもいい点出るっちゃ。”
 満面の笑顔であった。彼はどうやら歌がうまいと過信してしまったらしい。
 毎回、取った点数の自慢話が止まらなくなった。
 しかし、その後ノッチはあまりみんなから誘われなくなったとな。

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北海道旅行編

 俺は、ノッチと免許の合宿を北海道ですることになった。
 この期間約1ヶ月で、ノッチのすべてをわかったと言っても過言ではない。

@おしっこ事件

 これは、教習所が休みの日の、観光の時のことだ。
 いくつかの場所を見終わって、ホテルに戻る時だった。
 “う〜、は〜、も、もれる〜”
 突然、腹を異常なスピードでさすりながら、ノッチは言った。
 そのときのノッチは、子供でもやらないぐらいオーバーなアクションで、
 さらに具合悪そうな表情をして人の気を引いてきた。
 “何ノッチ、小便したいの?”
 俺は、うざかったけどとりあえず相手をして聞いてみた。
 “もう我慢できない”
 “そんなにもれそうだったら、バス止めてもらったら?”
 するとまた返してきた。
 “いや、まだ我慢できる、・・・う〜、あ〜”
 ホテルに着くまでその後20〜30分、このオーバーアクションは
 止むどころか、いっそう激しく続いた。
 この間のうざさは、想像に難くないだろう。
 俺は、たかが小便漏れそうでここまでやるやつは初めて見た。
 そしてノッチは、未だに語る。
 “あの時は、マジで今までで一番もれそうだったっちゃ。
 マジで死にそうだったもの。“

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Aトランプ事件

 とにかくこの事件が起こるまで、ノッチはやたらと俺に対抗意識を
 持っていたことを補足しておかなければならない。
 同じ部屋の人たちと、トランプをやっていた。
 何のゲームだったかは覚えてないが、上がる前に掛け声が必要な
 やつだった。
 2連敗くらいしていたノッチは、うれしそうな顔をしてあがった。
 “あがり〜”
 俺は突っ込んだ。“今、掛け声忘れてたぞ”
 するとノッチは顔を真っ赤にしてごまかしてきた。
 “ちゃんと言ったっちゃ、きいてなかっただけやろ。”
 “でも、誰も聞いてなかったよ。”と俺が言うと、
 “すぐそうやっていっつも俺ばっかに言ってきて”
 ごまかしきれないノッチは、ついに投げかけてきた。
 これにはさすがにむかついて、初めてノッチに向かってマジ切れした。
 “何だよそれ、俺がいつそう言ってんだよ、マジぶん殴ってやる。”
 するとノッチは、急に態度を変えた。
 “ごめんなさ〜い”
 この事件の後、ノッチの俺に対する態度は変わってしまった。
 時々君付けで呼ばれたり、妙に俺を恐れるようになったのだ。

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Bタバコ事件

 向こうで知り合った女の子の友達が、タバコに火をつけるとき言った。
 “あんたも吸う?”
 “じゃあ、もらおっかな?”
 タバコはその時まで酒飲んだ時まれにしか吸わない俺だったが、
 ずいぶん久しぶりに吸ってみようと思った。
 するとノッチが出てきた。 “俺も吸おうかな。”
 ノッチは、過去の話を美化したり作り上げたりするのが得意である。
 自分の都合のいいように話すので、8割はうそだと思っていい。
 “俺も昔吸ってたっちゃ。なんと言っても、ピースよね。”
 彼は、自分の父親の吸っているタバコを誇らしげに語った。
 そしておもむろに火をつけようとしたときのノッチの手は、
 とてもリズミカルに震えていた。
 “ごほっ、ごほっ。”
 その時ノッチは、土色の顔をしていた。

 いまだに、その女の子と当時の話をすると、彼女は言う。
 “こいつ大丈夫?って思ったわよ〜。”

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C教官事件

 ノッチは、自分の経験したことこそ、良くも悪くも最高だと思っている。
 とはいっても、彼は家から出ないため、たいした経験をしてるはずもない。
 そのことに気付いてないのは本人だけである。
 前置きが長くなったが、この話はみんなで教官について話していた時のものだ。
 “あの教官、すげー細かいんだよね。”
 “うちの教官なんて、まだ最初なのに構内で4速まで入れろっていうんだよ。”
 このような会話が続いていると、ノッチは入ってきた。
 “いや、でもやっぱり、俺の教官が一番厳しいっちゃ。”
 誰も、誰が一番なんてことは聞いていない。
 理由を聞いたが、全然たいしたことではなかった。
 うすっぺらい経験しかしていない彼には、よほどこたえたのだろう。

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Dロケット花火事件

 ホテルのすぐ裏に、ちょっとした山があった。
 みんなで、そこで花火をやろうということになった。
 ロケット花火を買い込んだのだが、立てるものを何も持ち合わせていなかった。
 ノッチは提案した。 “手に持ってもできるっちゃ。前やったことあるけぇ。”
 (よい子は真似しないでね)
 結局手に持って飛ばして遊んで、ホテルに戻った。
 明かりのもとにくると、ノッチは叫んだ。
 “あ〜、穴があいちょる〜”
 そう、そのとき目にしたのは、ノッチのグンゼシャツに、
 直径2〜3センチの茶色くこげた穴だった。
 どうやら自分の花火で焼いたらしい。
 さすが、ノッチ、体をはって教えてくれる。
 馬鹿なことはしたらいけんよって。

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E青春18切符帰宅編

 ノッチという人は、ただのできない子ではない。
 教習のすべてが終わり、観光をしながら帰ることにしたのだが、
 ノッチは切符すら自分で買えない。
 “ノッチ、どこ寄っていこうか?”
 “う〜ん、どこでもええよ”
 ノッチには、優柔不断なんて言葉は当てはまらない。
 ただ、何事も自分ではできないのだ。
 結局、彼がやったことは、俺のあとをとことことついて来るだけだった。
 俺にとっては、とてもいい経験になった。
 協力する相手がいないとき、頼りになるのは自分自身だけである。
 そのことを教えてくれたのは、まぎれもなくノッチである。
 しかし、せっかくの北海道観光も、満喫できたのはノッチと一緒に行動する
 不快感だけだったのは悲しい。

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体がだるい事件

 ノッチは、コンピュータの授業が嫌いだった。
 興味のないことをやるのは、人間誰でもつらい。
 しかし、サボる口実が常に言い訳じみているのが、ノッチがノッチたるゆえんである。
 “あー、体がだるい、もうだめっちゃ。俺冷房が効きすぎてるところだめやから。”
 そう言って、彼は説明し始めた。
 “俺パチンコ屋とか、タバコとかで空気が悪くて冷房が効いてるとこだと、すぐだるくなるっちゃ。”
 彼は課題が行き詰まると、決まってこう言って授業をサボった。
 この時のオーバーアクションがまたすごい。
 毎回死にそうな顔をするので、みんな不愉快になる。
 医者に行った方がいいと本気で心配しても、当然行かないからだ。
 結局後でまわりが手伝う羽目になるのだった。

 しかし、1年も経つと、自分で言ったこともすっかりと忘れてしまったようだ。
 夏休み明けに実家から戻ってくると、親の紹介でバイトをしてきたという話をしてきた。
 俺はよく働いたんだとと自慢したかったようだ。
 ノッチは得意げにこう言った。
 “パチンコ屋で働いてきたっちゃ。”
 こうして彼はよく自分の発言で自分の首をしめる。
 補足ではあるが、ノッチは果汁30%以下のジュースを飲んでも肩がだるくなるらしい。
 1000回くらいは聞かされた。
 そんな彼のフェイバリットドリンクは、コーヒーである。

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ボーリング靴事件

 ノッチのボーリング好きは有名である。
 1度一緒に行くと、なかなか帰ろうとしない。
 “もう1回やろうや〜。” と言って、6ゲームぐらいつき合わせられたこともある。
 そんなノッチも一緒に、4人でボーリングしに行った時である。
 金がなかった俺たちは、共同で靴を借りることにした。
 しかし、ノッチの足のにおいがあまりにもきつかったので、
 Dは言った。“ノッチおまえの分は自分で借りろ。”
 これに対しては、俺もTも反論しなかった。
 だって、本当にくさいんだもの。
 ちょっとむくれていたノッチだったが、ボーリングをやり始めたころには、
 すっかり忘れて楽しんでいた。
 でも、これはちょっとひどかったなー。

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ロケット花火事件2

 あれは、某河川敷で酒を飲みながら花火をやった時のこと。
 いい感じに酔っ払いながら、ロケット花火の打ち合いをしていた。
 (危ないので絶対やらないように)
 しばらくして、ベンチに座りながらまた酒を飲んでいると、
 さすがに酒がまわってきて、そろそろ家に戻ることにした。
 ノッチは、その時ベンチに寝ていた。しかし、意識があるのはみんな知っていた。
 俺は言った。“ノッチ、帰るぞ”
 しかしノッチは反応しない。
 これこそノッチの得意技のひとつ、うそ寝である。
 このようなことをして、みんなの気を引こうとする。
 そうやっていれば、最後にはみんなが起こしてくれると思っているのだ。
 ノッチのこの行動をよく知っている俺たちは、考えて、結論に達した。
 “置いて行こう。”
 帰ろうとするみんなの姿を、おそらくノッチは見ていた。
 しかし、まだ声をかけてもらえると信じている。
 みんなで俺の家に戻ってしばらくして、さすがに相手にされなかったことに
 気付いて自分のうちに帰ったかなと考えた俺は、電話を入れてみた。
 しかし、PHSも、家の電話も、応答がない。
 何度かけてみても同じ。
 数時間後に、一本の電話が入った。
 “もう帰ったん?寝ちょってぜんぜん気付かなかったっちゃ。”
 恐るべき男、ノッチ。秋の冷たい夜風の中、ベンチの上で4時間前後
 眠りつづけた。みんなの気を引きたいがために!
 真相はこうだ。みんなが起こしてくれると思って待っているうちに、
 待ちくたびれて眠りについてしまった。
 しかし今なお彼は認めない。“気付かなかったっちゃ!”

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ポケコン事件

 その日、俺はノッチに頼まれて、物を貸していた。
 “実験で使うから、ポケコンちょっとの間貸して。”
 ポケコンとは、学校で買わされたちょっとしたプログラムの組める、
 関数電卓のようなものだ。1万5千円前後の、非常に高価なものである。
 学校帰りのこと。みんなでゲーセンによった。
 そろそろ帰ろうと言い出したとき、ノッチは叫んだ。
 “かばんが無いっちゃーーーー!!!”
 物を無くすのはノッチの18番ではあるが、まさかそんな大きなものまで
 なくすとは思わなかった。
 いろんなゲーム周辺を探したり、忘れ物が届いてないか聞いたりしたが、
 結局見つからなかった。
 俺は、ノッチが何を無くそうがまったく気にならなかったが、
 その中に自分のポケコンが入っていたことを思い出して、落胆した。
 しかし、教科書なども一緒に無くしたノッチに気を使って、
 その時は何も言わなかった。
 いずれ自分で弁償すると言ってくるだろうと思っていた。
 しかしそれから何週間過ぎただろうか、いっこうに弁償する気配が無い。
 友達に愚痴って、彼らから間接的に伝えてもらったが、
 ノッチはまったく言ってこない。
 何で俺がここまで気を使わなきゃいけないんだろうと、ついに痺れを切らし、
 俺はノッチに言った。
 “悪いけど、ポケコン弁償してくんない?”
 するとノッチは、“いや、いつ返そうかと思ってたっちゃ。”
 俺は、こいつはなんてやつなんだろうと思ったが、最後まで気を使った。
 “別に安いただの関数電卓でいいからさ。”
 しかしここでノッチに気を使ってくれるかなと期待した俺が馬鹿だった。
 この時ばかりは(つまり都合の悪い時)彼の“いや”は聞けなかった。
 俺としては、“いや、やっぱり悪いからポケコン買うよ”が聞きたかったのに。
 結局ノッチは俺に5千〜6千円くらいの関数電卓を弁償した。
 これは、弁償してくれたことになるのだろうか?
 ノッチは、人に気を使うのもできない子である。

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八方尾根スキー旅行事件

 この話は、友達5人でスキーに行ったときのことだ。
 ノッチにとって、初めてのスキーだった。
 旅行に行く前のノッチ論は止まらなかった。
 “俺、車とかスピード出るの好きやから、たぶんスキーも好きっちゃ。”
 自分がすごいという話を、十数回聞かされつづけた。
 しかし滑り始めてみると、ノッチの顔は曇り始めた。
 当然、彼が思っていたようには行かない。
 そして、事件は起こった。
 “痛いっちゃ!!!”
 初心者にありがちな転び方で、ノッチは足を多少くじいた。
 “もう動けない〜。”
 そして長い休憩に入った。
 しかし、周りのみんなは確信していた。
 単に面白くなくなったので、滑らない口実が欲しかったと言うことを。
 その日のノッチはそれ以上滑ることはなかった。
 夜になって、みんなとトランプなどをしている時のノッチは、元気そのものだった。
 次の日の朝、新たな事件は起こった。
 その前に、ノッチの趣味のひとつ、睡眠について説明しておかなければならない。
 かれは、よく寝る子である。寝る子はよく育つと言うが、ノッチを見てると
 誰が言ったのだろうとよく思う。
 特に、都合の悪い時ほどよく眠る。
 学校がある日でも、夕方5時頃までは寝ている。
 テストの日などは、わざわざ起こしてやろうと何十回も電話してやるのだが
 (コール数で言うと数百回)、受けたくない彼は電話に出ない。
 それでも言い張る、“全然気付かんかった。”と。
 もしくはこのパターンもある。“急に熱が出て・・・”
 熱が出ても電話は取れるだろ!
 さて、スキーの話に戻るが、その朝のノッチはまさにこのパターンどおりだった。
 朝食を食いに行くので数回声をかけたが、ノッチは起きなかった。
 どうせいつものように起こしてもらえるのを待っているんだろうと思った俺たちは、
 ほうっておいて飯を食いに行った。
 部屋に戻ってくると、彼はまだ寝ていた。
 みんなは徐々にスキーに行く準備を始めた。
 いいかげんにたたき起こそうと、俺は声をかけた。
 “ノッチ、もう行くぞ。早く起きて着替えろ!”
 その時誰もが、期待した。(出るぞ、言い訳が!)
 そしてノッチは答えた。“足が痛いっちゃ。”
 そう、ノッチはもう前日でスキーに懲りていた。
 Tは突っ込んだ。“ただ眠いだけだろ。”
 するとノッチは反抗した。 “いや、本当にもうめちゃめちゃ痛くて動けない〜”
 俺は“そんなに痛いんなら病院行かないとだめだろ。”と言った。
 またまたノッチは反論した。“いや、ええわ〜”
 まるで、学校に行くのが嫌で仮病を使う子供のようだった。
 この会話を数回繰り返して、みんなは呆れて置いて行った。
 その日ノッチは1日寝て過ごした。
 しかし夜になってまたトランプを始める頃には、ノッチは元気いっぱいだった。
 ノッチ19歳、3月の出来事である。

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スズ○のおやど事件

 場所は某居酒屋。友達だけの飲み会。
 かなり酔いがまわった頃だった。
 ”のっち、グラス空いてないよ。もう飲めないの?”
 ”いや、まだ全然飲めるっちゃ。”
 しかし酔ってる俺から見ても、のっちが酔っ払ってるのは一目瞭然だった。
 その時だ。
 ガタッ!!”トイレ行ってくる!”
 すさまじい勢いで立ち上がると、トイレへと走っていった。
 その店の壁はガラスになっていて、トイレまでの廊下が丸見えになっていた。
 そこで俺が目にしたのは、前傾斜め45度に傾きながらトイレに走っていくのっちだった。
 しかしそれからしばらく、のっちは戻ってこない。
 ”俺ちょっと見てくるわ。”
 そういってトイレまで来てまず驚いたのが、トイレのドアがげろまみれだったことだ。
 恐る恐る中をのぞいたとき、俺は目撃した。
 ドア全開で、パンツを下ろしてうんこ座りしながら、げろを吐いているのっちを!!!
 思わず酔いが一気に醒めた。こっちには気づいていなかった。
 そのまま見なかったことにして、のっちが帰ってきたときに問い詰めた。
 ”のっちげろってたの?”
 するとのっちはまた見栄を張り始めた。ばればれなのに・・・
 ”いや、吐いてないっちゃ。”
 ”でも俺さっき見に行ったら、ドアげろまみれだったよ。”と突っ込むと、
 ”いやなんか、前の人がしていったっちゃ。”
 すばらしすぎる言い訳だった。のっちがトイレに行ってから俺が見に行くまで、
 中から見ていたがまったく出てきた人はいなかったのに。
 さらに直接吐いてるとこも、見てるっつーの。
 プライドの塊のような男である。
 お店の人、汚してすいませんでした。

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ノッチ宅訪問事件

 この話はつい最近起きたものだ。
 いつものようにしつこく電話をかけて、のっちを学校に呼び出そうとしていた。
 20分にわたり、連続でコールしていたが、まったく反応しない。
 間違いなくのっちの携帯には、俺の着信履歴でいっぱいだっただろう。
 家にもかけていたが、のっちいわく”電話線が壊れてるっちゃ。” といっていたので、
 その日むかついたので確認に行こうと、Tと決めた。
 そして、のっちの家についた。
 “がさ入れだ!”と窓を開けると、のっちはびっくりして固まった。
 どうやらゲームをやっていたらしい。
 俺はやさしく話した。”のっち、別に学校こないならこないでいいから、電話くらいとってよ。
 何で電話でないの?俺を何だと思ってんの?”
 ”いや、なんか携帯も変になってるっちゃ。音なんない。”
 この発言を聞いて、さっそく俺とTはのっちに気付かれないように仕事に取り掛かった。
 まずTが、家のほうの電話を鳴らしたが、驚いたことにのっちの言う通りならなかった。
 そこで俺がすかさず携帯に電話してみた。
 すると、どこからともなくメロディーが鳴り響いた。
 その瞬間俺とTが目撃したのは、呆然としたのっちの表情だった。
 “あれ、なんかなってるよ、のっち。”
 “いや、なんかバイブとかどっちになってるかわかんなかったっちゃ。"
 苦しい言い訳だった。つい一時間前に学校からかけたばっかりだったのに・・・
 仮にバイブにしていたとしても、周りのごみと共鳴してすぐに気付くだろう。
 のっちの言い訳、否定癖、見栄っ張りな性格は、衰えることを知らない。
 次の日には電話線を交換させ、家の電話もつながるようにした。
 もう、言い訳は通じないぞ。

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強運のっち事件

 のっちの自慢話の多くは家族の話だったが、その中にこんなのがあった。
 “俺の姉ちゃんの運はもっとすごいっちゃ。いっつも懸賞で物当てよるんよ。”
 たびたびファーストフード店のスクラッチくじで当たりを引いては、彼はこう言ったものだった。
 そんなのっちの自慢っぷりを聞き飽きた俺たちは、そんなに運がいいなら試してみようと計画した。
 Dの驚異的記憶力からのっちの住所を思い出し、インターネットからラジオ番組のリクエストなどに応募した。
 すっかり応募したことも忘れたある日、のっちは言った。
 “なんかラジオ局から景品でアーティストの手袋が届いたっちゃ。”
 すぐに打ち明けたが、この日から彼の強運は有名なものになった。
 Dはその後もレストランのアンケートなどを見つけてはのっちの住所を書き込んでいた。
 ちなみにのっちは○○フラット△△号室に住んでいるのだが、うちらは何となく親しみやすさから
 「○○フラッペ」とカキ氷のように呼んでいた。
 そしてのっちはよく笑いながら言った。
 “最近よく景品が届くんやけど、全部住所がフラッペになってるんよねー。”
 恐るべしのっち。彼なら懸賞生活も不可能ではないと断言できる。
 そんなのっちだが、Dが冗談で結婚相談のカタログ取り寄せをしたときは、本気で怒っていたそうな。

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