2002年10月26日
2001年12月3日
2001年11月22日
2001年4月19日
2001年3月28日
2001年3月14日
2001年1月16日
2000年11月27日
2000年11月5日
2000年11月3日
2000年10月30日
2000年10月28日
2000年10月23日
2000年10月18日
2000年10月15日
2000年6月7日
2000年5月2日

HOMEへ

*******************************************************************************

10月26日

私とTはこの日再会を果たした。
就職して引っ越していた彼がわざわざ現れたのは、もちろん禁断のあの地を訪れる為。
そう、1年半ぶりに我々はのっちの部屋の扉の前にいた。
そしてその扉を叩こうとした時の我々の心境をおわかりだろうか?
果たしてのっちはまだこの部屋に住んでいるのだろうか?
もしかしたら見ず知らずの人が出てくるかもしれない。
網と虫かごを手に探検隊に扮したTの風貌は、傍から見れば明らかに怪しい。
恐る恐るチャイムを鳴らす。
一回、二回…。反応がない。
やはり彼はいないのだろうか?
明かりも付いていない部屋の様子を探ろうと裏手の窓に回る。
以前なら外出時には開いているはずだったあの窓だ。
しかししっかりと鍵はかけられていた。
携帯電話は伝言モードに切り替わってしまう。
さらに家の電話も鳴らしてみたが見事に停められていた。
のっちはもうこの部屋にいないかもしれない。
そう思い始めたとき、玄関の真横にある台所の窓が開くことに気付く。
柵のある小さな窓だが、少しは中の様子が見えるかもしれない。
周囲を気にしながら中を覗いてみるが、視線の位置が低くよく見えない。
仕方がなく、手を伸ばしカメラで中の様子を写真に収めると、
そこに写っていたのは、あの悪魔の炊飯器、そしてのっちの吸う銘柄のたばこの空き箱だった。
のっちは間違いなくまだこの地で生活している。
部屋と台所の間の戸が閉められていたため、残念ながら部屋の様子はまったくわからない。
こうしてこの日の唯一の収穫は、彼が引っ越してはいないということだけだった。
部屋の扉に網と虫かごをかけ、我々は訪問をわずかながらアピールし、部屋を後にした。
サラリーマンの貴重な休日を利用してわざわざ足を運んできたTだっただけに、この結果は無念としか言いようがない。
帰り際に私はふと思った。
のっちがあの部屋で死んでいたら誰も発見できないだろうな、と。
長い間連絡が取れないと縁起でもないことまで頭に浮かんでしまう。
窓には我々の指紋がくっきりと残っているのだから洒落にならない。
せめて、元気な声だけでも聞かせておくれ。
連絡待ってるよ、のっち。T&Jより
topへ

*******************************************************************************

12月3日

3日午前1時頃のことだった。
アルバイト中の私はふと携帯の着信が入っていることに気付いた。
メールがきている。
のっちじゃないか!
私は彼からの連絡に驚きを隠せなかった。
恐る恐るメールを開くと、そこにはこう書いてあった。
「古本屋やめちゃった!で、新しいバイト先はカラオケ屋★まだ他のスタッフとうまく 話せないけど合コンできるように頑張りま〜す」
こののっちの心境の変化、ご理解頂けるだろうか?
のっちはついに自発的にバイトを探すまでに至った。
陰ながら応援させてもらうよ、のっち。
topへ

*******************************************************************************

11月22日

Tが車を廃車にしため足がなくなり、のっち宅に行く機会も減りずいぶんと長い期間が経った。
久しぶりに時間ができたJとTは、Jの部屋で鍋をつつきながら酒を酌み交わしていた。
当然気になるのはのっちの話題。
実は数日前にTが電話をかけてみたそうだが、その時には携帯は止められていたという。
時計が12時をまわり22日にかわった頃、運試しのつもりでJは非通知でのっちの携帯を鳴らしてみた。
予想に反して呼び出し音が聞こえた。携帯は復活してつながっているようだ。
しばらくすると、のっちが電話に出た。
思えば4月以来始めて聞く彼の生声である。
“もしもし、Jだけど。”
“すぐわかったっちゃ。”
どうしたというのだろう。私の声を聞いても驚くほど明るいトーンで返事をした。
最近の生活について聞いてみると、相変わらず古本屋でバイトを続け、週6日ほど働いているという。
入れ替わりの激しいバイトらしく、なんと今ではバイトのリーダーだという。
気付けば働き始めて1年が過ぎたていた。時の経つのはなんと早いことか。
部屋の状態についても尋ねてみると、全盛期を基準にすると80%ほどの汚さだという。
まず間違いなく床は見えないだろう。
しかしそんなことよりも、我々はのっちのこの明るい話し方の秘密が知りたかった。
その答えは、彼の話の中にあった。
“俺さ、いっとき、今はもう終わったけど彼女おったこともあったっちゃ。”
彼女。これほど人生に輝きを取り戻させるものはないかもしれない。
彼女ができるほどのっちの精神状態が復活していたかと思うと、涙がこぼれそうになった。
“さすがに部屋には呼べんかったけどね(笑)”
彼女がバイトを辞めわずか2ヶ月ほどで終わってしまった恋だが、続いていたらのっちが部屋を
片付けようと思うきっかけになっていたことは間違いないだろう。
今後の事についても彼は語った。
今のバイトでは自給が安すぎるため、近いうちに別のバイトを探すつもりだという。
大学の方は、退学の手続きを済ませたそうだ。
これで、長年のプレッシャーから解放されただろう。
私は近く部屋を覗きに行くことを約束し、電話を切った。
とにかく、のっちの明るい話しぶりがうれしかった。
すっかりと自信を取り戻した様子で、余裕さえ感じられた。
彼のひねくれた性格を直そうと我々が粉々に砕いてしまったプライドを、いい形で取り戻すことができたのだ。
もう我々が心配することは、あの部屋を除いては特にないだろう。
のっち、本当に成長したよ…。
topへ

*******************************************************************************

4月19日

4月18日のことだった。
いつものように期待もせず何気なくかけたのっちへの電話は、しばらくの呼び出しの後につながった。
予想外の出来事に、かけた私もとまどっていた。
そういえば携帯を変え、新しい電話番号を教えていない。
のっちが電話に出た理由はそれだったのだろう。
誰なのか分からずに出たのっちの声は、私の声を聞いた時点で震えに変わった。
別におどしちゃいねーよ・・・。
とりあえずのっちが帰省から戻っていることを確認した。
どうやら学校の始まる日には帰ってきているらしく、バイトもその後続けているらしいことが判明。
我々の前回の訪問への反応を見ようと、部屋に戻って何か変化があったか質問した。
“そういえばパソコンのデスクトップが変わっちょった。”
肝心のプレステワンについては何の反応もない。
それもそのはず、ようは友達からの借り物だったらしい。
“あー、あれ持って行ったん?まーええか・・・。”
そんな反応の弱さからも、真実味がうかがえる。
しかし「捨ててもいいか?」との質問にはそれはさすがに困るとの答えだったので、それを理由に次の日に学校に来ることを約束させた。
そして19日を迎える。
どうせ来るはずはないと決めてかかっていたが、昼頃にTが電話をかけると、牛丼屋にて食事をしていた。
この店は学校までの途中にあることから、どうやら向かっているらしいということが判明した。
それから10分の後、のっちは現れた。
思えば21世紀最初の対面である。
オレンジ色の洋服に身をつつんだのっちからは、妙にさわやかさを感じる。
Tが預かっていたプレステワンをのっちに返すと、私は質問を始めた。
“のっち、大学はどうすんの?リーチかかってるだろ?”
彼はいつものように“いや”というだけで、一向に答えが返ってこない。
“親は何か言ってなかったの?卒業しろとか帰って来いとかさ?”
するとただ「いろいろ言われた」、とだけ答え、詳細を一切口にしない。
しかしTが“もうアウトになるのを待ってるんでしょ?”と鋭い突っ込みを入れると、徐々に方向性を明かし始めた。
結論から言うと、のっちに卒業の予定はない。
さらに、実家のほうに戻って働くというつもりもないそうだ。
バイト先に就職するということもまったくないようで、新しく就職を探すというのが今後の予定らしい。
のっちは思いを少し話して楽になったのか、来た時にした“授業を受けに来た。”という口実をあっさり覆して帰路についた。
こうして我々は、大学に来させるという大きな目標を失った。
むしろ無理な目標がなくなって肩の荷が下りたとも思えるが。
しかしのっちをまともな人生のレールに乗っけるということも断念せざるを得ない。
我々にできることは、あの部屋を何とかすること、そして職を見つけることを手助けすることだけだ。
ここからが、本当の正念場である。

topへ

*******************************************************************************

3月28日

桜も次第に花をつけ、春の訪れをいっそう感じさせる。
多くの学校では卒業シーズンも終わり、アパートでは入学に向け新しい入居者の準備をする。
TとJがのっちのアパートを訪ねると、ここでも改装が始まっていた。
のっちの隣の部屋である。
新しい大学生活(かどうかは知らないが)に夢膨らせた若人が、どんな隣人がいるかもわからずに
ここに入ってくるのかと思うと、少し心痛い。
のっちの留守を暗示するように、工事の木材が無造作にのっちの部屋の玄関前を塞いでいた。
工事の人に“すいません、ここ入りますか?”などと尋ねられたが、
“ええまぁ、でも大丈夫です。”と答えると、傍を通り抜け角を曲がり、
工事の人のほうからは死角になった窓の前に立った。
のっちが実家に帰ったままなら、この窓は開いているはずである。
Tがそっと窓に手をかけると、ゆっくりと窓が開いた。
前回の訪問(1月16日)で足止めをくらった以上、やむを得ない判断だった。
我々は10月28日以来2度目の不法侵入に踏み切った。
そこには2人にとって衝撃的な事実が待ち構えていた。
大清掃で少しは落ち着きを見せた部屋の様子は影をひそめ、慣れ親しんだあの状態が復活していた。
われわれはため息をついた。苦労が全て水の泡に・・・
気を取り直して最近ののっち生活に探りを入れてみることにした。
エロ漫画、エロゲー、etc.その方向に深く走っている形跡が見られる。
しかし最も目を引いたのは、ごみの中に輝くプレステワンであった。
また買ってしまったのか・・・更生の為に始めさせたバイトが裏目に出るとは。
十分な資金源を得て、彼はのっち生活をパワーアップさせていたのだ。
これでは当然居留守を使うはずだ。我々に見られることをためらった理由はこれなのだ。
当然のごとく、テレビを見れないように奪い去ったコードも変えられていた。
全てはあの当時のままに戻ってしまった。これが我々の感想である。
落ち込んでもしょうがなく、パソコンのデスクトップを生活の五箇条に変えて微妙に我々が訪れた痕跡を残す。
やはり、これを変えるには短期決戦しかない。
のっちには復活に十分な期間を与えてしまったのだ。
こっちも真剣勝負に出なければいけない。
二人は気合を入れなおすと、プレステワンを手にのっちの部屋を後にした。

topへ

*******************************************************************************

3月14日

“のっちはどうしているのだろう?”
テストやレポート、バイトなど自分のことが精一杯で、このところのっちのことが頭に浮かぶ間もなかった。
もちろん連絡は何度も試みた。
しかし、一度として彼が通話ボタンを押すことはなかった。
やっと一段落して落ち着いた私が、近くの酒場でDと飲んでいるときのことだった。
“試しに非通知で電話かけてみるか。”
そういうと、Dは184を頭にコールした。
するとどうだろう?Dがしゃべっているではないか。のっちは電話に出たのだ!
Dとかわると、私は要点を質問した。
“今はどこにいる?”
“実家っちゃ。”
“バイトは?”
“休みをもらったっちゃ。”
“あの部屋は相変わらず?”
“はい”
“帰ってくるの?”
“はい。”
“大学は一応続けるんだ?”
“はい”
こうして彼の十八番である空返事が延々と続いた。
実はのっちにとって、この新学期はドロップアウトへのリーチがかかっている。
新年度中に1年次の単位をすべて修得しなければ、退学が決定してしまう。
もちろん、のっちを始め誰もが卒業できるとは思っていない。
しかし、学生という身分がなくなってしまっては、もはや仕送りはおろか、あの部屋で生活する理由が
なくなってしまう。
そのまま実家に強制送還され、両親のもとで親の援助なしには生活できない人間になるに違いない。
せめて自立心が養われるまでは、足場としても大学生活はしてもらいたい。
私はその部分をはっきりさせるべく質問を続けたが、のっちの口からはやる気だけは十分といった
いつもの“はい”という強い返事だけが繰り返された。
逆に言えば、それ以外には一言もしゃべらないのだが。
とりあえず、帰ってきたら連絡をすることだけを約束させた。
もちろんただでは期待できないので、10月から預かり続けているプレステ2を人(?)質にした。
気付けばそんなにも長い月日が経っていたのか・・・
あれからどうなったのか見当もつかないあの部屋と、のっちの将来を考えながら口にする今夜の一杯は、
ちょっぴりきつめだ。
topへ

*******************************************************************************

1月16日

冬休みも終わり1週間がたった。
そういえば、最後にのっちと連絡がとれたのはいつだっただろう?
ゆうに1ヶ月以上は経過している。
なかなか時間がなかったのも事実だが、当然向こうからの連絡はない。
久しぶりにJとT、Dの3人の時間ができたので、さっそくのっちの部屋に足を向けた。
不安でいっぱいになる。また悪化しているのは明らかだろうが・・・。
毎度のことではあるが、チャイムを鳴らしても簡単にでてくるのっちではない。
この日の事態は予想以上に深刻であった。
やはり玄関、窓ともに施錠されている。のっちはいるはずだ。
チャイムを鳴らすこと数10回。→反応なし。
携帯を鳴らすこと数10回。→古畑任三郎のテーマが鳴り響く。いつも通りだ。
家電話を鳴らすこと2回。→パソコンにつながっているのだろうか、音が鳴らない。
玄関と窓を叩くこと数10回。→周囲が気になる。通報されないだろうか?
のっちの気配はあるのかい?→明かりが漏れ、テレビの音声が聞こえる。間違いない。
いつもなら適当なところで諦めてでてくるのだが、この日は違う。
完全に居留守を決め込んでいる。ばればれなのに。
「のっちなら決定的証拠のある犯罪を犯しても無罪を主張し続けるかもしれない」、ふと思った。
まさか本当に死んでいるのではないか?我々はあせり始めた。
しかしその期待は毎回裏切られるので大丈夫だろう。
だがこうしていても埒があかない。何か方法はないだろうか?
わざわざ出向いてそのまま帰ることに納得の行かない3人は考えた。
「そうだ、大家さんに開けてもらおう。」私は提案した。
心配していることを説明すればきっと開けてもらえると期待したのだが、
大家さんが留守でこの案はあえなく失敗に終わった。
のっちの最近の生活について、少しでも手がかりをつかみたい。
そういえばバイトはどうしているのだろう?
冬休み中実家に帰るために辞めてしまったことは十分に考えられる。
それならばバイト先に尋ねるしかない。
Tに104で調べてもらうと、私は電話をかけた。
電話に出た店員はあいまいな返答をしていたが、私が身内の者で連絡がつかなくて困っていると
伝えると、シフトが手元にないのでいつ勤務かはわからないがまだ働いていると教えてくれた。
これがこの日得られた唯一の情報であった。
部屋がまた汚くなっていると指摘されるのを恐れたのだろうか。
我々はのっちに部屋に入ることを拒否されたのだった。
今回の失敗は、今後のっちの取る強硬手段となり得る。
最後にのっちのために用意してきた『生活の五箇条』をポストに貼り付け、部屋を後にした。
21世紀、彼と初対面するのはいつになるのだろうか?
こうしてのっちの汚い部屋生活は新しい1年をスタートした。
のっちに代わって一言挨拶させていただく。
『俺今年こそはこの生活変えるっちゃ。がんばるけぇ、みんな応援してや。今年もよろしく。』
(こう思っていてほしい・・・)
topへ

*******************************************************************************

11月27日

前回の訪問時に、粗大ゴミを予約することを約束させていたのだが、バイトをはじめてから
すっかりのっちから音沙汰がなくなってしまった。
「どうやらバイトにはしっかり行っているらしい」という情報以外、何も得られない。
やはりわれわれがいる時にしか行動を起こさないのだ。
のっちのバイト前の時間が作れたので、私とDはさっそく彼の部屋に向かった。
午後3時20分頃到着。
鍵はかかっている。のっちはいるようだ。
いつものようにチャイム、携帯を鳴らしつづける方法で呼び出そうとしたが、反応なし。
いったいどうしたのだろう?
その時私は何かが音を鳴らしているのに気付いた。
ガス湯沸し器だ。
そう、のっちはシャワーを浴びているようだった。
「最低限の人間生活を取り戻している、」私は感激した。
しかし待たされること20分、ようやく開けてもらったのは、3時45分頃だった。
中に入られることを少し躊躇した様子ののっちは言った。
“ごめん、ちょっと汚い。”
予想通り、部屋はまた散らかり始めていた。
第2回清掃の意味をすっかりなくしてしまっていた。
しかし、改善を見せたところもいくつか見受けられた。
一つは、ごみ箱の中に大量のタバコの吸殻があったこと。
これは明らかに床にタバコをこぼしてないことを意味する。
二つ目は、押し入れに入っていたごみ袋がなくなっていたこと。
これは大きい。次の大清掃時には大いに押し入れが利用できるからだ。
そして三つ目、台所の床がとてもきれいになっていたこと。
ぞうきんで拭いたのだという。
さすがに靴を脱いで入ることはできなかったが、一瞬脱ごうか迷ったほどだった。
さて、目的の粗大ゴミについてだが、やはり予約はしてなかった。
そこでわれわれのいる間に電話をさせたが、残念ながらつながらなかった。
役所がしまっていたのだろうか?わからない。
のっちのバイトが4時45分からで、職場まで自転車で30分かかるため、それ以上長居はできなかった。
しかし翌日は休みだというので、必ず翌日中に電話で予約することを約束させた。
ひとつだけ気になったのが、のっちは家にいるときに何をしているのかということだ。
相変わらずゲームもできなければ、テレビも見れない。
その答えは、私が発見した手帳に記されていた。
そこには、女の子の名前や、デートの時間などが事細かに書かれていた。
私は目を疑った。
まさか、のっちに限って、彼女がいるはずは・・・。
このバイトをはじめた短期間で、そんなに彼が成長しているはずはないのに。
その時私はピーンときた。
そういえば、パソコンは動くのではなかったか?
私は尋ねた。“ひょっとして、パソコンでゲームやってる?”
するとのっちはあせった表情をみせて、答えた。
“いやー、ほんとに暇つぶしで。でもあれやから。新しいのは買ってないけぇ安心して。”
そういう問題ではない。
そう、彼がやっていたのは、某恋愛シュミレーションゲームだった。
清掃の時に大量にエロ漫画が出てきたが、どうやら引きこもってる間にそういう方向に少し走ったらしい。
例のごとく、今度汚くなったときはパソコンも没収することを約束した。
しかしのっちよ、どうか生身の、現実の世界に戻ってきておくれ。

topへ

*******************************************************************************

11月5日

TとJはこの日、第2回大清掃を行うべく再びのっちの部屋を訪れた。
今回はアポなしではなく、事前に予定を教えていたのだが、バイトが決まってすっかり気が抜けたのか、
いつものように爆睡していた。
さっそく取り掛かろうとしたのだが、10月28日の日記で触れたように、また増えてしまったごみを
減らすという逆戻りのスタートであった。
部屋のほうはわれわれが担当し、のっちには便所を徹底的に攻めてもらった。
来るときにかなり強力な洗剤を購入してきたが、便所の汚れはのっちに似てとても頑固だった。
しばらく放置してからこすっても、落ちる様子がなかった。
どうやら便器のほうは、長期戦を覚悟しなければならない。
さて部屋のほうだが、順調にごみは減っていった。
棚やベットの上、押入れなどにある不必要なものをとにかく減らすことに重点を置いた。
しばらく作業を進めていると、突然Tの悲鳴が聞こえた。
“うわー、隊長、何かいます!見てください!”
そこには、ゴキブリさんの死骸が転がっていた。
ゴキブリ恐怖症のTは、背筋を凍らせていたようだ。
私は拾い上げてよく観察してみた。
表面の羽側のほうは原形をとどめていたのだが、体のほうが干乾びて小さくなっていた。
これこそ、あの恐るべき生命力を誇るゴキブリさんも、この部屋では生存不可能な決定的証拠だった。
しばし休憩を取って戻ってくると、驚くことにのっちがセカセカとうごめいていた。
もっと驚いたのが、のっちが素手でじゅうたんの細かなごみをかき集めていたことだ。
確かに掃除機が役目を果たせない以上、最も効率的な手段であったが、さすが住人というところだった。
この日は私がアルバイトだった上に、些細なことからのっちが途中でやる気を無くし、
特技の黙り込みをするハプニングが起きたため、とりあえずごみがまとまったところで終了した。
やはり、これらのごみが無くならなくては、次の作業に進めない。
次はいよいよ、布団やじゅうたんを取り替える大仕事になりそうだ。
そのためにはそれらを捨ててすぐに新しいのを入れる効率良い作業が必要なので困難である。
アルバイトも始まり、より精力的な活動を余儀なくされるのっち。
彼は今、引きこもりから一歩外に足を踏み出したのだった。

topへ

*******************************************************************************

11月3日

衝撃的な吉報が届いた。
珍しくも、私の携帯にのっちからの電話がはいった。
そう、その内容は、早くもバイトの面接に合格したというものだった。
他の3つを待たずして一番最初に出た結果がこれだったのだ。
職種は古本屋、まさに彼の天職かもしれない。
しかし本当のところ、われわれはこのバイト以外が決まってくれることを望んでいた。
というのも、他の3つはともに接客業で、彼が今もっとも不得意とすることである。
例え使い物にならなくても、できるだけ人と触れ合うことで何かを得て欲しいと願っていたのだ。
もちろんそれだけに、雇ってもらえる可能性が非常に低いと思っているのではあるが。
だが何はともあれ、今一番大事なのはとりあえず外に出ること。
一つでもバイト先が決まったというのは、非常に大きな一歩であることは間違いないだろう。
こうしてのっちは、11月6日の月曜日から働くことが決まった。
これで少なくとも、彼の生活は普通の人間に一歩近づいた。
これからが正念場だ。同時進行で部屋も片付けなくてはならない。
われわれは彼のやる気に期待して、見守りつづける。
まずはのっちよ、おめでとう。

topへ

*******************************************************************************

10月30日

この日ものっちの部屋は前回と変わった様子もなく、彼自身の生活にも変化は見られていなかった。
そこでJとDは、少しでも強制的に外に出す手段を考えた。
私はDにアルバイト情報誌を買いに行ってもらい、その間にのっちと真剣な話し合いの場を設けた。
このままの生活を続けた先に何があるか、自分ひとりで生きていくことの難しさ、そしてわれわれが
何故協力するのかなど、すべて言って聞かせた。
なかなかこういう話をまじめにするのは恥ずかしい。
しかしそのおかげで彼は十分に私の言うことに理解を示してくれたようだった。
そしてDが某雑誌を手に部屋に戻ると、さっそく片っ端から電話を入れることにした。
すっかり人付き合いに臆病になってしまったのっちの口調はたどたどしいものであったが、
何度もしゃべってなれることが自信につながると教え、数件の募集先に電話をさせた。
しかし休みに実家に帰りたいがためにバイトの日程を素直に答えてしまっているので、
これでは雇ってはもらえないと思いわれわれも協力して電話をかけた。
こうして翌日、翌々日までに4件の面接の約束をいれることに成功した。
さらに故障したガスの修理も依頼し、木曜日には調べてもらえることになった。
これがなおれば、風呂にも入ることができる。
のっちは面接前には散髪にも行くと約束した。
われわれは2,3日のスケジュールが決まったことに大いに満足した。
彼にとってこれほどカロリーを消費するであろう行動を起こすことはずいぶんと久しいこと。
面接に合格することはできなくても、それなりに有意義な行動になることだろう。
とにかく幸運を祈り、われわれはのっちの部屋を後にした。

topへ

*******************************************************************************

10月28日

28日午後6時近く、今度こそごみが無くなっている事を期待して、またのっち宅前に立ち止まった。
この日も秋の雨が肌に冷たい、冷え込んだ夜だった。
のっちの部屋の明かりは、消えていた。
すぐに携帯電話も鳴らしてみたが、部屋から音はない。
そっとドアノブに手をかけ、まわしてみた。
するとドアは静かに開いた。
彼はいない。私は確信した。
鍵を持たない彼が外出した、決定的な証拠だった。
しかたなくわれわれは、不法侵入に踏み切ることに決定した。
そこで目にしたのは、散らかり果てた部屋の様子だった。
確かに、ベッドの上に積み重ねられたごみは、すべてなくなっていた。
しかしわれわれの汗と涙の結晶であるごみの取り除かれた床は、すっかり見えなくなっていた。
弁当の空き箱やタバコの空箱などが、無様に散乱していた。
そして押入れのごみも、捨てられずそこに残されていた。
のっちはベッドの上だけで、満足したらしい。
これさえやれば、われわれに何も言われないと思っていたのだろうか?
あまりの改心のなさに、計画していたテレビ没収を実行に移した。
ただし、いきなり本体を持たずに、配線だけを持ち去ることにした。
これで少なくとも、テレビ番組は見れない。
こうしてわれわれは、彼の次の奮闘にわずかな望みを託して、部屋を出た。
のっちよ、妥協するなかれ。
(後に留守宅に上がりこんだことは、承認済み。
のっちは自分が約束を守らなかったので仕方なかった、と釈明した。)

topへ

*******************************************************************************

10月23日

雨の降りしきる23日午後6時過ぎ。
われわれはまたのっちの部屋の前で足を止めた。
暗闇の中、彼の部屋の窓から漏れる明かりが辺りを照らしていた。
彼はいる。そっとTはチャイムを鳴らした。
1回、2回、3回、・・・・・10回。やはり応答がない。
前回と同じ作戦で、携帯を鳴らすことにした。
すぐに、どこかで聞いたことのある着信音が静かな住宅街に鳴り響いた。
この日ののっちの応答は、前回に比べ明らかに早かった。
鍵を開けてもらうと、われわれは恐る恐る中へと足を踏み入れた。
やはり、ごみ袋はすぐに目に入ってきた。
しかし、明らかにその量は減っていた。わずかに10数袋を残すほどまでなっていた。
その驚きの表情をのっちに読み取られたのだろうか、彼の表情は自信に満ちていた。
いけない。ここでほめてはまたつけあがらせてしまう。
そう思って私は口を開いた。
“全部捨ててないじゃん・・・・。”
しかしよくやったことも認めた。今週で全部無くせることも確認した。
間違いなく、プレステ2没収効果は出ている。
その証拠に、あのごみの積み重ねられたベッドの下を片付け、彼は寝るスペースを確保していた。
のっちが自分だけで行動を起こしたことは、大きな進歩であった。
しかしわれわれが1番疑問を感じたのは、彼のこの数日間の生活であった。
生活の源であるゲーム機を持っていかれ、一体何をして時間をつぶしたのだろうか?
彼が言うにはテレビもそれほど見ていないという。
“いったい何やってたの?四六時中寝てたの?”
私が訪ねると、彼は答えた。
“いや、・・・土日は散歩しちょった。”
なんとついにのっちは、自主的に外に出たのだ。
よっぽどやることがなかったのだろう。またまたプレステ効果ではないか。
しかし残念ながら、週日の彼の行動については全くの謎だった。
車で訪れたため、わずかに10分ほどののっち宅滞在だったが、今回はまた収穫があった。
メイクミラクルは、起こりうるかもしれない。
可能性の残された限り、われわれは戦い続けるのだ。

topへ

*********************************************************************************

10月18日

今世紀最大のイベント『のっちの部屋大清掃』、その第1回が行われてわずか三日後の18日、
我々は彼に余裕を与えないため、間髪をいれず課題チェックに訪れた。
もちろん、課題とはごみ捨てだ。
日も暮れかかった午後5時頃だった。
到着してすぐにチャイムを鳴らしたが、返事がない。鍵もかかっている。
そこでいつものように窓のほうにまわったが、なんとこちらも鍵がかかっている。
のっちが外出中ならば、鍵は開いてなければならないはずだった。
なぜなら彼は鍵を持っていないのだ。
我々はあせり始めた。居留守かもしれない。
そこで、携帯を鳴らして存在を確認する作戦にした。
Tの携帯からコールすると、部屋の中から頼もしい着信音が鳴り響いた。
やはりのっちはいるらしい。
私も家の電話のほうをコールし、しばらく2人で鳴らし続けると、台所の小窓からむくりと起き上がる
のっちの姿を確認できた。
どうやらこの時間はまだ、彼の睡眠時間のようだった。
鍵を開けさせ中に入ることに成功。
そしてそこで我々が目にしたのは、3日前と変わった様子のないごみ袋の山だった。
月曜日が可燃、水曜日が資源ごみ。
少なくともごみの量は半分まで減っているはずだった。
我々は15日の努力が実らない現実に怒りを覚えたが、予想できたことなので落ち着いて訪ねた。
捨てることができなかった理由は何なのか?
黙々とタバコに火をつけると、のっちは自慢気に口を開いた。
“ちゃんと6袋捨てたっちゃ。”
彼の口調に、苛立ちを感じた。
たったの6袋!単純計算だと、あと10回以上繰り返さないとなくならない。
確かに彼の言い分もあった。
道にあふれてしまうため、一回では捨てられない。苦情が来てしまうと言うのがそれだ。
しかし、本当に生活を変えることを望むのなら、そんな妥協は許されない。
多少迷惑がかかっても、例えば他の地域の収集所へ少しずつ持っていくことはできるはず。
我々がそう忠告すると、彼はまた新たなタバコに火をつけ、黙り始めた。
結局は、のっちの言うことは言い訳なのだ。
そしてそれが彼の最大の病気であることも、理解している。
それを分かりつつも、彼の態度に我々は怒りがピークに達した。
その時、私は新品のプレステ2に手を伸ばした。
“じゃ、これ没収しま〜す。”(ちょっと明るく)
するとのっちは顔をくしゃくしゃにした。“え〜〜〜”
彼の生活の源、これを奪わずして他のことに集中力を仕向けるのは不可能だ。
こうして我々はすべてのゲーム機をごみ袋に詰めると、のっちに約束させた。
木曜日の不燃、金曜日の可燃の日で、すべてのごみを捨て去ることを。
そしてのっちがやる気をだしたなら、その時ゲームを返却することを約束した。
しかし逆にまた約束を破ったなら、今度はテレビを没収する。
我々はゲーム機をもって、のっちの部屋をあとにした。
そしてため息をついた。のっちに、明るい21世紀は来るのだろうか?

topへ

*********************************************************************************

10月15日

新学期が始まった。
しかしのっちは、後半戦開幕ダッシュをかけ、1日も学校に姿を見せない。
ある科目のテストが控えていたので、私は彼にそのことを伝えてあげた。
当日、そのテストに間に合うようもう1度連絡をすると、いつものように電話に出ない。
しつこくかけても出ないのであきらめていると、一本の電話が入った。
“う〜、げほっ、がほっ、風邪ひいた〜。へんとうせんはれた〜。”
事件簿を読破した方ならもう知っているように、仮病で本当に熱を上げる、彼の十八番である。
こうして引きこもりを続ける彼の現状を打開するため、計画していた大清掃を実行に移すことにした。
X-dayは、来たる次の日曜日、10月15日に決定した。

そしてその日は来た。
メンバーはJ,T,そして助っ人Dの3人。
我々はまず必要なものを検討し、準備してのっちの部屋に向かった。
その前に、我々自身何の得にもならないことをするので、少しでも楽しみたい。
ちょっとのっちを驚かせようと、しゃれでマスクに卍のマークを入れ、バンダナを巻いて訪れた。
ピンポーン、ピンポーン。”すいませーん。”
ごみを掻き分ける音をさせながら、のっちは玄関までやってきた。
“はーい、新聞ですか?”
“配達ですけど・・・“
そういうと、鍵の開けられる音がして、ドアが少し開いた。
すかさず私はドアを強く引くと、のっちと目が合った。
“うわっ、うわっ!!!”
のっちは幽霊でも見たかのような表情で叫んだ。
予想以上の驚きに、こっちまで驚いてしまったが、とりあえずしきりなおして、彼に計画を説明した。
例え嫌がっても強制的に掃除を始めるつもりだったが、予想に反してその日ののっちは乗り気だった。
やはり彼自身、少しでもこの生活を変えたがっていたようだ。
部屋に入ってすぐ、私は発見した。
部屋の汚さの中際立つように、新品のプレステ2がそこにあった。
これでは学校に来るはずもなかったわけだ。
さて、さっそく作業に取り掛かったのだが、思った以上に困難を極めた。
まず、地域によってはあまいところもあるかもしれないが、彼の収集所では分別をきちんと行わないと
持っていってくれないため、可燃、不燃、瓶、缶としっかり区別する必要があった。
とりあえずひたすら区別しながらごみ袋に詰めることから始めたが、底を見せる様子もない。
我々はそこである事実に気付いた。
のっちの部屋の画像を見て、ずっと家から出ない割にはごみの量が少ないと感じた方がいただろう。
また、このくらいの量なら大した事ないと思った方もいるはずだ。
しかし真相は、普通に重ねた体積なら、明らかに天井まで行っているはずだったのだ。
つまり、彼がその上で生活するうちに、異常に圧縮されてしまったのだ。
初めて床がその姿を現したのは、始めて2時間が経過した頃だった。
ごみと混じって漫画や教科書、CD、ゲームソフト、携帯電話、充電器、鍵などさまざまなものが
発見されたが、我々は躊躇せずにそれらをごみ袋の中へと投げ込んだ。
床にあるものはすべて、我々の目にはごみに見えた。
いちいち区別していたら、進む気配すらなかったのだ。
そしてそれは、のっちも暗黙の了解をしていた。
気にする様子もなかったので、我々はやりやすかった。一種の快感も覚えたりした。
予想外だったのが、まず、虫が思ったほどいなかったこと。
クモや、飛ぶ虫、それに目に見えるか見えないか位の小さな虫を除いては、何も出てこなかった。
きのこも見つからなかった。それらも生活できないほどの環境だったようだ。
もちろんマスクなしでは作業できないほどの異臭は漂っていたのだが。
そしてもう1つは、のっちが休まず働いたことだ。
我々に比べれば作業は進まないものの、彼がここまで働いたのをここ数年見たことがない。
こうして5時間を超える作業は、床が完全に見えたところで打ち切られた。
それ以上の作業はその日は望めなかった。
ベッドの上に集められたごみ袋は、なんと60袋をゆうに超えていた。
次の作業にかかるには、まずはこれを捨てなければならない。
そしてこれをするのだけは、のっちの手にゆだねられたのである。
我々は1週間以内に確認するとプレッシャーをかけて、のっちの部屋を後にすることにした。
その時である。
“いや、今日はほんとにありがとう。マジで助かったっちゃ。”
我々は、初めて、彼の心からの「ありがとう」を聞いたのだ。
これが、この日最も予想を裏切られたことだ。
明らかに彼は、我々の行為に少しでも意味を感じてくれたようだ。
彼が約束どおりごみを捨てたなら、第2、第3の清掃を行う予定だ。
そしてここからは、のっち次第である。

topへ

*********************************************************************************

6月7日

ある授業のレポート提出を明日に控え、私は考えた。
果たして電話を入れただけで、奴は翌日のレポートを完成させて授業に現れるのだろうか?
いや、それはあるまい。奴のことだ。明日を乗り切れば≪来なければ≫もう来なくてよい
理由ができる、と考えているはずだ。”もうこの単位は無理っちゃ”と。
しかしあの部屋で勉強することなど、可能なのだろうか?
私は乗り気ではなかったが、彼を私の自宅へ入れることを決意した。
しかしただ入れたのでは私自身の邪魔になりかねない。
更生の意味もこめ、彼には風呂用具一式を用意してくるよう要請した。
部屋に入ってすぐ、シャワーを浴びさせる。プールに入る前の消毒槽と言ったところだろうか。
さらに物足りず、洗濯までしてやった。念には念を入れ、2回連続で。
ノッチの表情は、当然のようだった。もちろん感謝の言葉もない。
最初からそんなものは期待もしていなかったが・・・。とにかくこれでレポートに専念できる。
不思議なことに、その日は子虫が大量発生。彼の来宅と何か関連はあるのか?
次第に集中力が切れてきた頃、彼は言った。
”いっつも≪勉強を≫始めるのは俺のが早いんだよね。”
私は苛立った。呼ばなければやらない奴を呼んでやってるのは誰なのだ・・・?
私は気付かなかった。徐々に奴のペースにはまっていることに。
気持ちを冷静に保つように努力しながら、勉強を続け、我々は朝を迎えた。
睡魔と闘いながら授業を受け始めると、私は体に異常を感じた。
く、くるしい・・・。
どうしたというのだろう、私の体は?もう彼との共同作業には絶えられない体なのだろうか?
私はもうだめかもしれない・・・。私に何かあったら、たのむ・・・T。
彼を、救ってくれ・・・
topへ

*********************************************************************************

5月2日

そのあまりの異臭に、かねてから計画していたが、温泉ツアーを実行に移すことに決定。
午後4時過ぎ、アポ無しでのっち宅を訪問。強制的に外出を要請。
しかしのっちは突然の案に戸惑いの様子。数十分間説得体制に入る。
”今日はやめようや〜”とだけ連呼して、その理由を述べない。
一行は苛立ちを隠せなくなり始める。のっちは次々にタバコに火をつけ、黙って沈黙を続ける。
彼の手からは床に灰がこぼれまくるが、気にする気配もない。われわれはあせり始めた。
その一連の動作から、どうやら彼は風呂に行くのが恥ずかしいらしいことが判明。
のっちに人のいない温泉に行くことを保証して、ようやく納得させる。出発は6時近くなっていた。
我々は場所を他県の秘境にある温泉に決定し、車を走らせる。
営業しているわずかな可能性に期待しながら。
出発して30分が経過、一行は発病者が続出。私も吐き気を催して倒れそうになる。
原因判明。車内の狭いスペースにて広がるのっちからの異臭によるものだった。
コンビニにて休憩。ここでパンツとシャツを購入させる。
席替えをして、再出発する。少しは気分がよくなった。窓を閉めれないので車内は凍える寒さだ。
さらに車を走らせて2時間半、目的地に到着。玄関は閉まっていたが、交渉に成功。
入浴のみ許可された。
服を脱いだ瞬間ののっちの異臭は脳が刺激されるほどだった。
のっちには、最低2回は髪、体を洗うよう念を押した。
帰路につく際、購入したばかりのシャツとパンツを着用させる。
驚くほど臭いがなくなっていた。のっちの表情にも、明るさが見えた。
どうやらこのツアーは大成功を収めたようである。

一週間後

ゴールデンウィーク明け、のっちを学校に呼び出すことに成功。
しかし、その驚異的回復力の速さに落胆した。爪は黒色に変化し、臭いは異臭を放っていた。
どうやら根本的改善が必要のようである。少し考えが甘かったようだ。
次なる対策を考えねばなるまい。

topへ